2009.07.02 マイコー珍奇なる人生 同病相哀れむ

まず有色人種が白人に抱く漠然とした劣等感は極めて自然なものです。勇気、冒険心、知性で過去数百年世界の文明をリードしてきたのは紛れも無く白人です(残虐、貪欲とセットでしたが)容姿の優劣に関してもヒトにプログラムされている普遍の美に一番近いのは現存する人種の中では白人です。ヒトは美しいものを好み、愛します。醜いものを嫌い、憎みます。

聖書にはこう記述されています。「人は神に似せて創られた」神は全知全能、万物を統べる者、宇宙の中心。
「似せて」の部分がポイントです。

この「似せて」創られた部分が人生の時折々顔を出します。私が20代前半の頃の友人の話です。「ふと思うのだけど自分以外の全ては投影された幻で現実なんて物は実際は存在しないんじゃないかな」う〜む、私以外に同じような事を考えている人もいるもんだと思いました。簡単に言いますと、この世は自分が主人公で自分以外は全て脇役の物語。

「私が全て、私以外は私に仕える者」これは社会におけるポジションによって表層に表れる頻度が違ってきます。社会的に低い地位で「俺様」では誰からも相手にされずに生きていけません。生活の知恵を身に付けた「俺様」は表層に表れずヒトの中でひっそり生き続ける事になります。酔っ払って俺様出現は多々あります。
「私は宇宙の片隅のしがない肉片」「私は神様、支配する者、宇宙の中心」この両極の摩擦熱がヒトを鋳造するようにプログラムされています。

マイケルの場合は幼少時から天才少年と称えられジャクソン5で大ヒットを連発して成人後はTHRILLERで桁違いのセールスを記録します。自我をくすぐる事象ばかりで「プチ神様」と「その他大勢としての自分」との摩擦は発生しません。
彼の中での摩擦は賞賛、驚異的CDセールス、社会的成功の現実と「自分は縮れ毛、団子鼻、誇るべき歴史を持たない奴隷の末裔」のみ。

プチ神様マイケルにとって唯一の間違いは自分が黒人に生まれてきた事。心優しい人間マイケルにとって黒人の存在自体は差別や憎しみの対象では無いが自分が黒人である事実だけは容認出来ません。少しでも憧れの白人に近づきたい、出来ることなら白人になりたい。叶わぬ夢・・・

超ど級の愚か者ですね。甘ったれにも程がある。特に信仰心を持たなくても運命を受け入れて真摯に生きていくのは普通のヒトが普通に行っております。 と、言ってしまうと実も蓋も無いのでもう少し掘り下げてみましょう。

黒人音楽(M・ジャクソン含む)を自然に受け入れている人には極度の白人コンプレックスは理解不能でしょうが筆者には良く解かります。何故なら私自身10代半ばから30歳くらいまでマイケル病に侵されていたからです。自分が日本人に生まれたのを受け入れられず天を呪いました。もう一度青春時代に戻りたいか? と、問われれば「絶対イヤ!」と答える私。

マイケルと筆者は同年齢なので彼の成長期の時代背景がよく分ります。ぎりぎりビートルズ世代でその後に訪れる英米のロック全盛期、天才続出の10年間をリアルタイムで経験しています(黒人は唯一ジミヘンのみ)1967〜1977年あたりは質的に現人類音楽史の絶頂期と言って差し支えありません。

次から次に現れる天才達(白人)が奏でる音楽が天国へ誘います。世界(白人の)とは、音楽(白人の)とは、人間(白人)とはなんと素晴らしいのだろう。と、少年マイケルの成長期の音楽体験が想像出来ます。

音楽の趣味趣向は人口の過半数を占める大衆にとっては「売れている音楽」「繰り返し耳にする音楽」となります。いわゆる後天的要素が大きくなります。充分発達した魂においては後天的要素がほとんど反映されず趣味趣向が偏る傾向があります。
マイケル自身が自らの音楽をどう評価していたのか知る由もありませんので推測になりますが音楽に関しては自分より半世代前の白人アーティスト達に遥かに及ばないと自己評価していたのではないかと思います。

人種差別の要因は単純に肌の色の違いで片付けられるものではありません。根源にはもっと根深いものがあります。
黒人嫌いの人は、ファッション、音楽、歩き方、喋り方、もう黒人的なもの全てが嫌い。黒人嫌いの魂が黒人に生まれてしまった場合はほとんどの場合ゆるやかな同化か自己正当化で多少の違和感を持ちながら生きて行きますがマイケルの様な深刻な事態には陥りません。

ヒトと動物の決定的な差異はいくつか挙げることが出来ますが、その一つに信仰心があります。ヒトに生まれてくると自然から受け取る五感からの情報と教育も幾ばくか作用しますが漠然とした「神」の存在。神と云う言葉が嫌いであれば畏れとも表現出来る万物の背景にある「何か」でも結構です。その何かを感じ取れるのがヒトの特徴です。

マイケルも特殊な環境の中で「何か」を感じとって、自分が黒人に生まれてきた「意味」にまで思い至れば随分違う人生を歩めたのではないかと思います。筆者の場合は30歳前後からのめりこんだオカルト研究がマイケル病完治に役立ちました。
マイケルにはオカルト者の親友マドンナがいましたがほとんど力にはなれなかった様です。

転生論者は「学習するまで何度も同じ生き方をしなければならない」と唱えます。
もしそうなら残酷極まりない。神も仏もない。無慈悲です。いっそM・ジャクソンであった魂を抹消してあげてください。
抹消が無理なら「ルシファー」堕ちた天使、神に敵対する者としての生を与えてあげてください。

上の文章でお終いと思っていたのですが読み返してみて気が付いたことがあります。
実はマイケルの死まで彼のレコードCDセールスがどの程度なのか知りませんでした。THRILLERに関しても過去の有名アーティストの販売枚数から推測して勝手に1000万枚前後だろうと思い込んでいましたが調べてみて吃驚です。一億枚!いちおくまいでっせ。これは通常の法則以外の大きな力が働いているに違いない。神になろうとして地上に叩き落とされたルシファーは限りなく神に近い力を行使出来る。マイケル・ジャクソンはルシファーの地上身だったのだろうか? THRILLERのPVもホラー仕立てだったし・・・

人種差別の克服は現人類に与えられた大きなテーマだと思っています。異質な者との共存は常に他者を尊重して己を省みる事を強いられます。男女間、民族間、異宗教、容姿の醜い者、知的に劣る者、その他諸々、同じヒトとして地上に生きる以上は異質な者との共存の努力は不可欠です。「排斥」は己をも殺す行為に繋がります。

白人の世界各地への侵略、収奪、奴隷貿易、植民地化、を経て第二次大戦の日本の奮闘による白人のマスターレース(支配民族)神話の終焉。その後のアジアアフリカの独立運動。アメリカの公民権運動、南アフリカの差別撤廃。白人、非白人とも人種差別に戦いを挑んで着々と成果は上がっています。

黒人である事に誇りを持てないスーパースターは先人達の血の滲むような努力に泥を塗っているのではないか? 
白人→当惑 黒人→苛立ち アジア人→可哀想
マイケルの白人コンプレックスに対して抱く感想は概ねこんな感じでしょう。差別意識を既に克服した、又は始めから持たない白人は相当数の割合で存在します。マイケルの存在はそれを更に加速させる事も可能でしたが彼の生き様はブレーキにはならなかったのか?

「所詮、醜くて知能が低くて下品な黒人は白人様と対等にはなれっこないのさ」とマイケルの生き方から敏感に嗅ぎとった黒人は多いのではないかと思います。勿論、反面教師として「あんなみっともない生き方だけはするまい」と心に誓う黒人も居るでしょう。黒人を認めなかった黒人スーパースターが人類史の中でどう位置付けられるのか数十年後のマイケルの評価は興味があります。

終わり